強烈な紫外線や風雨から建物を守ってくれている屋根は、定期的にメンテナンスをして劣化・破損したらすぐに修理することが大切です。仮に屋根の損傷をそのままにしておくと、建物の寿命を縮めてしまうことにもなりかねません。
この記事では屋根修理の種類や費用相場、周期などをわかりやすく解説します。「屋根を修理したいけど、どうしたらいいかわからない」「そろそろ屋根をメンテナンスしたい」という方に必読です。
屋根の修理・リフォーム・塗装の違いとは?今必要な工事はどれ?
屋根に関する工事には大きく分けて「屋根修理」「屋根塗装」「リフォーム」という3種類があります。いずれも屋根をメンテナンスすることには変わりがないのですが、その内容は大きく異なりますので、状態によってどれを業者に依頼すべきかを考えなければなりません。
まずは各工事がどのようなものなのかをしっかりと把握しておくことが大切です。3種類の工事の違いについて、詳しく見ていきましょう。
屋根の修理工事とは|劣化に対する定期的なメンテナンスや雨漏り等のトラブル対処
屋根修理とは屋根を部分的に修繕する工事のことです。たとえば災害などによる突発的な被害が発生した場合は屋根修理を行い、破損した箇所を直します。また、建物の寿命を伸ばすためには定期的に屋根の状態を点検して経年劣化による損傷が生じている箇所を修理することが重要です。なお、全面的に屋根を補修する工事は後述する「屋根リフォーム」に該当します。
屋根修理の具体的な工事の例としては屋根材の部分的な交換や棟板金(てっぺん)の交換などです。後ほどこれらの工事内容についても詳しく触れていきます。
屋根塗装とは|定期的に必要なメンテである塗料の塗りなおし
屋根塗装とは屋根の塗装を塗り直すメンテナンス工事です。ちょっとしたひび割れの補修なども行いますが、あくまで塗装がメインであるため、屋根に大きな損傷がある場合は前述の屋根修理を依頼する必要があります。
屋根は塗装をすることで屋根材が塗膜で覆われ、紫外線や水によるダメージを保護します。しかし、年月が経つと塗料が劣化してくるため、定期的な屋根塗装工事は必須です。8〜10年ごとが塗り直しの一般的な周期とされていますが、使用する塗料によって費用や耐久性が変わってきます。
屋根リフォームとは|屋根の全面的な修理や取り替え。耐用年数経過後や大規模な破損で必要
屋根リフォームとは屋根を全面的に補修する工事のことです。部分的な補修をする場合は前述の「屋根修理」を行います。
具体的には屋根材をすべて外して新しいものと取り替える葺き替え、上から新しい屋根を載せる屋根カバー工法などが挙げられます。屋根修理と比較すると大規模な工事になるため、費用も高額になりがちです。
屋根修理工事の工法&メニューの種類&費用|修繕のプロが分かりやすく解説
以上のように屋根工事と一口にいっても「屋根修理」「屋根塗装」「屋根リフォーム」という種類があり、さらに各々の工事のなかにさまざまな工法があり、その中から屋根の状態に合わせたものを選ぶことが大切です。
ここからは屋根工事の具体的な工法やその内容、費用の相場について、プロが詳しく解説します。
1.ブルーシート補修・テープ補修|雨漏り等や屋根の破損に対する応急処置
ブルーシートで屋根の損傷箇所を覆う、あるいはテープを用いて損傷箇所を補う方法です。主に地震や台風などの自然災害で屋根が破損した際に雨漏りを防ぐために行います。比較的安価にできますが、あくまで応急処置であるため、その後屋根修理や屋根リフォーム工事を行う必要があります。
足場を設置しないケースが多く工期はいずれも半日程度で、費用の相場はテープ補修であれば2〜5万円、ブルーシート補修の場合は2〜9万円ほどです。
2.コーキング剤・シーリング剤による補修|小さなひび割れなど小規模な部分修理に最適
屋根材の隙間はコーキングと呼ばれる充填剤で埋められています。コーキング補修はコーキングのひび割れを補修したり充填し直したりする作業のことです。また、屋根材が破損していたりひび割れが生じていたりする場合、そこにコーキングを埋め込むことで雨漏りなどを防げるようになります。屋根材に損傷やひび割れを発見した際に行います。
足場は必要なく、工期は半日〜1日程度で、費用の相場は2〜7万円です。
3.屋根の差し替え|部分的な屋根・瓦の破損や雨漏りに最適
屋根材を1〜数枚交換する、もしくは接着剤で接着する工事です。屋根材が部分的に破損している場合や脱落している場合に行います。前述のコーキングで補修できないような破損度合いの場合は屋根材の差し替えが必要です。やはり破損した屋根材を差し替えることで、雨漏りを防ぐことができます。
足場は設置しないケースが多く、工期は1日程度で、費用の相場は4〜20万円程度です。
4.棟板金・棟瓦(=屋根のてっぺん)の交換|風の影響を受けやすくはがれやすい箇所
棟板金とは屋根の棟(てっぺん)の部分を固定する金属製の板のことです。棟瓦も同様に棟の部分を固定する屋根瓦のことを指し、瓦葺きの家屋で見られます。棟は風が当たりやすく、特に台風などの強風で棟板金や棟瓦が外れてしまうことがあります。その際に棟板金や棟瓦の修理が必要です。
足場は設置せず、工期は棟板金、棟瓦の交換いずれの場合も2日程度で、費用の相場は棟板金の場合は4〜15万円、棟瓦の場合は10〜40万円です。
5.漆喰詰め直し|瓦屋根で劣化しやすい箇所
瓦葺屋根には瓦を固定するために漆喰が用いられます。非常に美しく耐久性がありますが、やはり経年劣化によってひび割れや剥がれが発生し、瓦がズレてしまったり脱落してしまったり、あるいは隙間から雨水が浸入してきたりすることがあります。漆喰にひび割れや損傷が生じた場合、瓦にズレが見られる場合は、漆喰の詰め直しを行います。
足場の設置は不要で、工期は2日程度、費用相場は10〜35万円です。
6.屋根の葺き直し・積み直し|瓦屋根の部分補修に適している
屋根材や瓦を一度すべて剥がして再度葺き直し(ふきなおし)たり積み直したりする作業です。防水シートの取替や下地の補強や補修なども行います。やはり屋根の防水シートや下地も年月が経過すると劣化していくため、定期的な補修や交換が必要です。屋根の葺き直しを行うことで雨漏りを防ぎ、建物の耐久性を高めることができます。
葺き直し・積み直しは大規模な工事となるため足場の設置が必要となり、工期は7〜10日程度、費用相場は20〜50万円です。
7.谷板金(谷樋)交換|水が流れ込む雨漏り頻発箇所
谷とは屋根と屋根のつなぎ目の部分です。たとえば「L」形状の建物の場合、内側に谷ができるようになります。この谷には板金が施されるのですが、雨水の通り道となるためどうしても劣化がしやすくなってしまいます。谷板金が破損している場合、錆が見られる場合は交換が必要です。
足場は設置しなくてもいいケースが多く、工期は2〜3日程度、費用相場は6〜12万円です。
8.雨どいの補修・交換|建物を長持ちさせるために必須
雨樋とは屋根に降り注いだ雨を地面や下水に排出するためのプラスチック製や金属製の管です。雨樋も経年劣化や地震、台風、大雪などの自然災害で破損する場合があり、その際には修理や交換が必要です。特に雨樋に詰まりがある場合、損傷がある場合は雨水が壁にかかってしまい、屋根だけでなく外壁のトラブルにもつながりかねません。建物を長持ちさせるためには雨樋もしっかりと確認・メンテナンスしておきましょう。
足場は設置するケースとしないケースがあり、工期は1〜4日程度、費用相場は部分補修の場合は2〜8万円、全体的に交換する場合は20〜30万円です。
【屋根材の種類別】耐用年数と必要な修理・リフォーム・塗装の内容&実施時期
屋根に破損や不具合が生じていたら早めに上記のような屋根工事を行わなければなりません。しかし、屋根は日頃目が届きにくい部分です。知らず知らずのうちに劣化が進んでいるので、建物の寿命を延ばすためには定期的に点検し、適切なメンテナンスを行うことが重要です。
屋根の耐用年数や必要なメンテナンスは屋根材によって異なります。ここからは屋根瓦、スレート屋根、金属屋根、アスファルトシングルという代表的な4種類の耐用年数と必要なメンテナンスについて見ていきましょう。
1.瓦屋根|耐用年数が40年程度と長い
耐用年数 (※葺き替え時期) |
40年以上 |
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必要な修理の周期 | 棟瓦補修:15~30年 瓦差し替え:20〜30年 漆喰詰め替え:15〜25年 |
瓦屋根とは昔ながらの瓦葺きの屋根のことを指します。屋根瓦は粘土製で非常に耐久力があり耐用年数は40年以上と非常に長持ちです。
とはいえ、瓦の隙間を埋める漆喰が先に劣化するケースが多く、15〜25年周期で漆喰の詰替えが必要です。また、特に棟は強風の影響を受けやすいので、15〜30年周期で棟瓦の補修が必要となります。それ以外の部分でも痛みや損傷、ズレなどが生じることがあるため、20〜30年周期で点検を行って瓦の部分差し替えを行います。
2.スレート屋根|耐用年数30年程度
耐用年数 (※葺き替え時期) |
25~30年 |
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必要な修理の周期 | 棟板金交換:15年程度 差し替え:必要に応じて 接着補修:必要に応じて |
スレートとはセメントと繊維から造られる屋根材です。軽量で安価であるため多くの住宅で採用されており、「コロニアル」や「カラーベスト」とも呼ばれています。ただし、瓦ほどの耐久性はなく、耐用年数は25〜30年ほどです。
やはり屋根のてっぺんの部分の棟板が先に劣化・破損する場合があるので、15年程度で棟板金の交換が必要です。その他、8〜10年程度の周期で屋根塗装を行い、必要に応じて差し替えや接着補修を行います。
3.金属屋根|耐用年数35年以上
耐用年数 (※葺き替え時期) |
35年以上 |
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必要な修理の周期 | 棟板金交換:15年程度 差し替え:必要に応じて 接着補修:必要に応じて |
金属屋根とはトタン(亜鉛メッキ鋼板)やガルバリウム鋼板、ステンレス、銅など金属製の屋根材を用いた屋根のことを指します。特に近年ではガルバリウム鋼板が用いられることが多いです。腐食に強く耐用年数は35年以上ですが、海が近い場合は塩害が発生して15年程度で修理が必要になるケースもあります。
やはり棟板金の交換は15年以上、その他必要に応じて屋根材の差し替えや接着補修を行います。
4.アスファルトシングル|耐用年数30年以上
耐用年数 (※葺き替え時期) |
30年以上 |
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必要な修理の周期 | 棟板金交換:15年程度 差し替え:必要に応じて 接着補修:必要に応じて |
その名の通りアスファルトが使われている屋根材です。グラスファイバーに道路でも使われているアスファルトを塗布し、さらに砂や細かな石を付着させて最後にアクリル樹脂で固めます。こちらも非常に丈夫で耐久性が高く、耐用年数は30年程度です。金属屋根のように腐食する心配もありません。
棟板金の交換は15年周期で、その他差し替えや接着補修は必要に応じて実施します。
信頼できる修理業者選びの2つのコツ|国家資格には絶対に注目
以上で屋根工事の種類やそれぞれの概要、費用や工期の目安をご紹介しました。屋根工事で後悔しないためには業者選びが重要です。
まずは、一級建築士などの国家資格保有者が在籍しているかどうかを確認しましょう。国家資格を取得するためには豊富な専門知識と高いスキルが必要です。有資格者がいる業者であれば安心して任せることができます。
また、直請けの修繕工事専門業者を選ばれることをおすすめします。下請に工事を委託している業者はどうしても中間マージンが発生するため費用が高額になりがちです。直請けの業者であれば中間マージンは不要で費用が安く抑えられます。
RYU-SHINは一級建築士と一級施工管理技士の有資格者が在籍しています。また、直請けなので高品質な工事をリーズナブルな価格で実現可能です。
この記事のまとめ
屋根工事は修理、リフォーム、塗装という3種類に大きく分類され、そのなかにもさまざまな工事があり、屋根の状態に合わせて必要な工事を依頼することが大切です。
屋根は常に紫外線や風雨に晒されるため劣化がしやすい箇所なのですが、どうしても普段目が行き届きにくいです。定期的に点検を行い、適切なメンテナンスを実施しましょう。
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