大規模修繕工事か建て替えか?築40年以上のマンションの選択肢
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マンションであっても築40年を過ぎると老朽化が進み、ところどころに不具合が見つかります。
大規模修繕のタイミングでそのまま修繕するか建て替えるかで悩まれている管理組合の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、マンションを建て替えるとなると費用面でも、かかる労力の面でも、修繕とは桁違いです

今回はマンションを建て替えるべきか修繕してそのまま使い続けるべきか、悩まれている管理組合の方向けに、どちらがいいのかを判断するポイントについてご説明します。

マンション建て替えは毎年わずか数件の高い壁!

(出典:国土交通省https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001623968.pdf

国土交通省の統計によると、2023年には全国で282件、戸数にすると23,000戸のマンションが建て替えられました。
一方、現在日本全国には685万戸ものマンションが存在しています。
建て替えが実施されたマンションは割合にするとわずか0.3%。
こうした数字からもいかにマンションの建て替えが少ないか、そして建て替えのハードルが高いかがわかります。

マンションの建て替えが難しい理由

以上のようにマンションの建て替え件数は非常に少なく、日本のマンションの総数から見るとごくごく少数であることがわかります。
ここからはマンションの建て替えが難しい理由について考えてみましょう。

住民の費用負担が大きい

マンションの建て替えとなると莫大な費用がかかります。
文字通り桁違いの金額となるため、これまでの積立金ではとてもまかないきれず、住民に負担してもらう必要があります。
そのため、住民が負担増を嫌がって頓挫してしまうケースが非常に多いです

特に建て替えが必要となるほど老朽化したマンションには昔から住まわれている高齢の入居者も少なくありません
収入が限られていて高額な建て替え費用が負担できないという方が多いのに加え、「自分が生きている間に問題なく住めればいい」「今更建て替えをする必要はない」と考える入居者から反対されるということが多いようです。

住民の同意が得られない

マンションを建て替える際には住民の金銭的な負担はもちろん、精神的な負担や手間も増大します
工事期間中は別の住まいに引っ越してもらわなければなりません。
引っ越し作業には非常に大きな労力や出費がかかります。
加えて住み慣れた住まいを離れなければならないという精神的な負担も大きいです。

建て替えた後はマンションに戻ることができます。
老朽化したマンションよりも快適性や安全性が向上する一方で、住み心地や使い勝手も大きく変わり、やはり入居者にとってはストレスとなるでしょう。

マンションを建て替えるためには区分所有者(入居者)、議決権者それぞれ5分の4以上が同意している必要があります
上記のような負担もあって、入居者の賛成が得られないケースも非常に多いのです。

既存不適格マンションになってしまった

上記のように入居者からの同意が得られないという点に加えて、「既存不適合マンションになってしまったという問題も建て替えを難しくする要因になり得ます。
既存不適合マンションとは、法律の改正によって違法状態になってしまったマンションのことを指します。
建築当時は合法的に建てられたマンションでも、現在の規制には合ってないというケースが多々あるのです

たとえば建築当時は容積率が300%と定められており、後に200%に変更されているような敷地の場合、300️%で建てられたマンションは違法建築ということになってしまうのです。
現在の200%という条件を満たすためには、各戸の広さを3分の2にまで抑える必要があります。

金銭的・精神的な負担が増大する、引っ越しの手間がかかるうえ狭くなってしまうとなれば、住民にとってはデメリットが大きくなってしまい、建て替えに反対するのも無理はありません。

なお、耐震性が不足していて建て替えが必要となるマンション等については、マンションの建替え等の円滑化に関する法律第105条第1項によって容積率に関する規制が免除されるなどの特例措置が受けられる場合もあります。
もし既存不適合によって建て替えが頓挫しているということであれば、自治体のホームページや窓口などで特例が受けられないか確認してみることをおすすめします。

建て替えの判断基準になる耐用年数とは?

耐用年数とはその資産が使用に耐えられる年数、つまり寿命のことを指します。
鉄筋RC造の頑丈なマンションであっても長い年月が経過すれば老朽化し、いつかは住めなくなってしまう状態になります。

マンションの耐用年数は3種類ある

耐用年数には「法定耐用年数」「物理的耐用年数」「経済的耐用年数」という3種類があります。

法定耐用年数とは会計用語でその資産を減価償却できる年数のことを指します。
一般的な鉄筋RC造、鉄骨鉄筋RC造のマンションの法定耐用年数は47年であり、その期間中に減価償却費を計上していきます。

物理的耐用年数とは、その資産が実際に使用できる年数のことを指します。
法定耐用年数は一般的にその減価償却資産が使用できうる年数が設定されていますが、実際には必ずしもその年数が過ぎたら使えなくなるというわけではありません。
耐久性が高い鉄筋RC造の建物は47年経過しても問題なく使用できているケースも多いです。
現在の基準で建築されたマンションの物理的耐用年数は100年以上ともいわれます。
なお、昔の建物の場合はもう少し物理的耐用年数が短くなってしまう可能性もあります

経済的耐用年数とは資産価値が続く年数のことです。
建物は年月が経過すればするほど、その資産価値がどんどん低くなってしまいます。
マンションの経済的耐用年数は50年程度であり、それを過ぎると建物にはほとんど価値がなくなり、仮に売却する場合はほぼ土地の値段でしか売れないということになってしまいます。
なお、建物の資産価値は老朽化の度合いで決まるのはもちろん、その住みやすさ・使いやすさも大きく影響します。
たとえば間取りが今のトレンドに合っていない、エレベーターやオートロックなど現代のマンションに備わっているべき設備が備わっていないとなると、資産価値は大きく下がってしまいます。

老朽化マンションの大規模修繕工事のポイント

正直なところマンションの建て替えは非常にハードルが高く、ただ老朽化しているというだけでは入居者からなかなか理解を得られません。
よほど喫緊に建て替える必要がない限りは修繕で改善していくのが現実的です。
ここからは老朽化マンションの大規模修繕を行う上でのポイントについて考えていきましょう。

劣化したカ所を交換する

マンションは基本的に構造となるコンクリート部以外であれば全部取り替えることも可能です。
たとえば大規模修繕では外壁のひび割れ、鉄筋の露出、手すりの欠損、タイルやモルタルの浮き、屋上やベランダの防水、給排水設備の交換などを実施します。
また、交換する部位の素材を変更するだけでも、耐久性が高くなり、見栄えも良くすることが可能です。

たとえばリシン仕上げの外壁を吹き付けタイル張りに、スチール製の手すりをアルミ製に、同じくスチールに塗装をした玄関扉を塩化ビニルのデザインドアにするといった方法が挙げられます。

こうした工夫によって、建て替えをしなくてもマンションの資産価値を維持することができるのです。

耐震基準を満たす

特に昭和56年の建築基準法改正以前、いわゆる旧耐震基準で建てられたマンションは現在のマンションと比較して耐震性が低いため、早急に対策する必要があります。
しかし、これも建て替えではなく大規模修繕である程度対応することが可能です。

たとえば壁であれば後打ち壁増強工事や鉄骨枠組補強工事などによって強度を高めることができます。
柱の場合は耐震スリットや連続繊維巻き補強などによって建物の強度を高め、揺れを逃がす柔軟性をもたせることが可能です。
他にも建物に耐震フレームやバットレスを施工するなどして耐震補強をするという方法もあります。

住民の命や財産を守るためにも耐震性の確保は非常に重要です
もし耐震性に不安があるのであれば、大規模修繕の際に施工業者に相談してみましょう。

高機能資材を取り入れてより快適な住居へ改善する

前述のとおり、マンションの建て替えには物理的な耐用年数だけでなく経済的な耐用年数も考慮しなければなりません。
建て替えをすれば当然建物の価値は上がりますが、大規模修繕でも資産価値を維持することが可能です。

たとえばドアを交換するだけでも気密性や断熱性、遮音性、操作性がアップし、省エネやバリアフリーが実現できます。
同様にサッシに関してもアルミサッシや樹脂サッシに交換し、窓を複層ガラスに交換することで建物の気密性や断熱性、遮音性を大幅に改善することが可能です。

こうした修繕を行うことで入居者が快適に過ごせるようになり、満足度の向上にもつながります
特に省エネやバリアフリー化が実現できるような工事を行う場合、国や自治体から費用の一部を補助してもらえる可能性もあります。

築40年以上経っても人気のあるビンテージマンション

マンションは概ね40~50年程度で耐用年数を迎え、その資産価値も失われてしまいます。
しかし、上記のように工夫さえすれば住民の方が安心・安全・快適に暮らせ、高い資産価値を維持することも可能です。
最後に人気のビンテージマンションの事例についてご紹介します。

定期的な修繕で資産価値を守る広尾ガーデンヒルズ

渋谷区広尾にある広尾ガーデンヒルズ
80年代に分譲が開始されましたが、当時は非常に人気で抽選が行われ、入居することが極めて難しい状況でした。
それから40年経過し、広尾ガーデンヒルズも老朽化が進んでいる状況です。

しかし、大規模修繕に加えて毎年のように細かい修繕・メンテナンスを実施しており、建物の状態も非常に良好で、現在でも非常に高い人気を誇っています

外壁や鉄部、減圧弁、防水など、経年劣化が現れやすい部分を都度修繕していくことで、入居者は安心して住み続けることができています。
管理組合がきめ細かく普段から建物の維持・管理をし続けているからこそ、広尾ガーデンヒルズは今もなお高い資産価値を維持できているのです

技術力の高い施工業者に依頼し大切なマンションの価値を守りましょう!

入居者の平穏な生活や安全に影響を及ぼすような、よほど深刻な不具合が発生していない限り、マンションは建て替えをするよりも大規模修繕によって維持していくのが現実的な方法といえます
そのためには技術力と提案力が高い施工業者を選ぶことが大切です。

RYU-SHINは一級建築士をはじめとしてさまざまな資格を有する技術者が在籍し、老朽化したマンションの状態を見極め、適切な工事の施工が可能です。
完全自社施工であるため、中間マージンがかからず費用削減にも貢献いたします。
マンションの建て替えか大規模修繕かで悩まれている、入居者が安心して暮らせてかつマンションの価値を維持したいとお考えの管理組合の方、管理会社のご担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。

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