いい施工会社を選ぶための「相見積もり」
大規模修繕工事の施工会社を選ぶにあたっては、それぞれの施工会社から相見積もりを取る必要があります。
心から納得し、満足できる施工会社を選ぶためにも、相見積もりは必ず取りましょう。
そして見積もりを受け取ったら、ポイントを押さえてしっかりと比較検討することが大切です。
この記事では、相見積もりを取る際に知っておきたい見積もりの取り方や、見積書を見るときのチェックポイントについて解説します。
大規模修繕で必須!相見積もりをとるときに注意すべきこと
マンション大規模修繕を適正価格で発注するために「相見積もり」は必須!
大規模修繕は、マンションの修繕工事の中でも最も大きな金額がかかるものなので、管理組合としても適正価格で発注しなければなりません。
工事代金の適性金額を把握するために大切なのが、相見積もりを取ることです。
大規模修繕の見積もりを管理会社に任せるマンションもありますが、それは止めておいた方が賢明です。
管理会社が施工会社とつながっていて、施工会社に有利な金額を提示してくるケースがあるからです。
必ず管理組合や修繕委員会(以下管理組合と表記)が、自ら複数の業者の相見積もりを取得して、比較検討するようにしましょう。
管理組合が自主的に相見積もりを取ることによって、複数の施工会社と折衝する機会もでき、そこからさまざまな情報や知識を得ることもできます。
要注意!「同一条件の見積もり」を取得するにはどうするか?
各社の見積もりを比較検討する際には、各施工会社に同一条件で見積書を書いてもらわなければ、正確な判断ができません。
しかし大規模修繕は項目が多岐に渡り、修繕方法もさまざまあるため、ただ「見積もりをお願いします」と頼んだだけでは、複数社から同一条件の見積もりを取得できないのです。
それを解消するためには、工事の施工方法や施工範囲などの仕様をあらかじめ決めておき、その上で各社に見積もりを依頼する必要があります。また、その際に共通仕様の見積書を作成し、施工会社にはそこに記載してもらうようにすることが重要です。
しかし、施工方法を決めたり見積書を作成したりといった作業を管理組合で行うのは、難しいものがあるでしょう。
そこで必要になってくるのが、「設計コンサルタント会社」です。
管理組合と施工会社の間に設計コンサルタント会社に入ってもらうことで、管理組合が検討しやすい共通仕様の見積書ができ、より透明性の高い施工会社選びができるようになります。
このように、施工会社とは別に設計コンサルタント会社を入れるやり方のことを、「設計監理方式」と呼んでいます。
設計監理方式にすると、設計コンサルタント会社がマンションの調査診断や改修設計を行い、工事施工会社を選定する際も適切なサポートを行ってくれます。
設計コンサルタント会社を入れずに、まずはマンションの管理会社が勧める施工会社から見積もりをもらい、その見積書をベースにして他社から見積もりをもらうことも可能です。
このように管理組合と施工会社の2社で工事を実施することを、「責任施工方式」と呼びます。
「設計監理方式」の落とし穴
設計監理方式が主流になった背景とは?
設計コンサルタント会社を間に入れることで、当然ながらそれなりの費用は発生しますが、それでも近年の大規模修繕は「設計監理方式」が主流になっています。
実際に半数以上の分譲マンションで、この方式を採用しています。
なぜかというと、安価に工事を行う施工会社が増えたことで、手抜き工事のトラブルが増加したからです。
管理組合は工事の品質面で不安を抱くようになり、設計コンサルタント会社に間に入ってもらうことで、手抜き工事が起きないよう対策を講じたのです。
また、共通仕様の見積書作成を設計コンサルタント会社に一任することで、管理組合の手間が省けるというメリットもあります。
いまだにある大規模修繕工事トラブル
しかし、設計監理方式を採用しても、トラブルがゼロになったわけではありません。いまだに一部の悪徳コンサルティング会社による大規模修繕工事トラブルは発生しているので、気を付けましょう。
本来であればマンションの味方であるはずの設計コンサルタント会社ですが、その中には施工業者からのバックマージンを目当てにして、不適切なコンサルティングを行う会社があるのです。
国土交通省はこの件に関して、平成29年1月に注意喚起をしています。下記のRYU-SHINのコラムでも解説しているのでご参考ください。
責任施工方式は「信頼できる施工会社選び」が重要
では、責任施工方式を選択するとどうなるでしょうか?
責任施工方式では、信頼できる施工会社を管理組合自らが探さなくてはいけないので、多くの手間と時間を使います。
いい施工会社を見つけるためには、会社の実績があるか、提案力は高いか、もらった見積もりの金額が妥当かといったことも、管理組合が見極めなければなりません。
しかしその反面、工事の一貫性を保てるという大きなメリットがあり、施工会社と直接やり取りすることで話の食い違いもなく、スムーズに工事を進められます。
ただし、責任施工方式で依頼する場合でも、必ず適切な相見積もりを取りましょう。
「賢い見積もりの取り方」の5つのポイント
責任施工方式で施工会社を選ぶ際に、どうすれば適切な相見積もりを取ることができるのでしょうか?
見積もりを取る際に注意しておきたい点について解説します。
1 見積もりをとる業者の種類には3つのタイプがある
マンションの大規模修繕工事を依頼する業者は、大きく分けて「管理会社」「総合建設業者(ゼネコン) 」「大規模修繕の専門会社」の3タイプに分けられます。
管理会社に依頼するメリットは、普段からお世話になっているので管理組合としても頼みやすく、やり取りもしやすい点です。
しかし、管理会社は修繕工事を専門としていないので、施工管理能力が低かったり、無駄な工事を提案されるケースもあります。
ゼネコンは総合建設業なので、組織力がありますが、実際の工事は下請けがやっている場合も多く、どんな下請け業者かによって工事の質に違いが出るのが不安な点です。
3タイプの中で最もお勧めなのは、大規模修繕の専門会社です。
大規模修繕の専門知識や経験が豊富で、細かい対応もでき、それでいて工事金額も抑えやすい点がメリットです。
ただし、業者によっては管理能力が心配なところもあり、業者選びは慎重に行いましょう。
2 相見積もりを取る前に準備しておきたい3つの書類
相見積もりを依頼する際は、「建物診断報告書」「修繕計画書」「修繕仕様書」の3つの書類を準備しておく必要があります。
これらの書類によって、どの場所に、どんな工法で、いつからいつまで工事を行うのか。
どのメーカーの補修材料や塗料を、どのぐらい使うのかといった内容を業者に伝えることで、複数の業者から同条件の相見積もりを取ることができます。
3 工事の費用相場を把握しておく
業者に相見積もりを依頼しつつ、管理組合としても工事のおおよその費用相場を把握しておきましょう。
それによって、見積書で提示された金額が適切かどうか判断することができます。
国土交通省の「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」には、マンションの大規模修繕工事の費用相場が、1戸あたり約91〜100万円、床面積1平米あたり11,931〜13,096円かかると記載されています。
ただし、同じ戸数や平米数でも、建物の状態によって費用が大きく変わることもあるので、注意しましょう。
4 消費税込みの額で見積もりを取る
見積もりを取る際に気を付けたいのが、必ず消費税込みの金額で見積もってもらうことです。
大規模修繕工事の費用は高額のため、万が一消費税が抜けていると、実際には数百万円高かったということにもなりかねません。
見積もりを依頼する際に、消費税込みかどうかを忘れずに確認しておくことが大切です。
5 見積書や工事金額に不安がある場合は、専門家に相談してみよう
業者が提示した見積書や工事金額を見て、何か気になる点がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」や「マンション管理センター」などの公益財団法人では、建築士などが大規模修繕に関するさまざまな相談に応じています。
知っておけばだまされない!見積もりの見分け方
業者の見積書にうまくだまされて、高額の工事費用を取られることのないよう、見積もりを見る際に特に注意しておきたいポイントを解説しましょう。
まず、単位が「一式」で総額表示されている見積書や、材料が書かれていない見積書では、詳しい工事内容が把握できません。
数量や単価が不明瞭であったり、面積などの数量が異なっている見積書も、内容をきちんと判断できません。
また、諸経費の項目が不明な見積書や、廃材処分の記載がない見積書もNGです。
こうした見積書を受け取ったら、再度提出し直してもらう必要がありますが、こういう見積書を出してきた時点で、どんな業者かある程度判断できる場合もあるでしょう。
まとめ
大規模修繕工事を依頼する業者を選ぶ際は、必ず複数の業者から相見積もりを取り、比較検討することが大切です。
相見積もりを取る際は、共通仕様の見積書を作成し、各社同じ条件下で比較できるようにしましょう。
近年は設計会社と管理組合の間に設計コンサルタント会社を入れる「設計監理方式」が主流ですが、コンサル会社自体が不正を働く場合があるので注意が必要です。
多額の費用を払うマンションの大規模修繕工事なので、こうしたさまざまな点に目を光らせ、間違いのない工事を実現したいものです。
お見積りや修繕のご相談ならぜひ、RYU-SHINまでお気軽にご相談ください。
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