大規模修繕工事で配管修繕もセットで行うべき理由とは?費用や注意点も合わせて解説
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マンションの大規模修繕工事を行う際に、管理組合や修繕委員会、マンションの居住者の方々が知っておかなければならない知識のひとつに、「配管修繕工事」があります。

配管は、外壁やバルコニーなどと違って外からは見えないので、メンテナンスの必要性を感じにくい部分なのですが、実は歳月とともに劣化は着々と進んでいます

それを放置しておくと、大きなトラブルに発展することもあるため、配管の修繕は大規模修繕工事のタイミングにセットで行うのがベストです。

今回は配管修繕工事をする理由や配管修繕工事の必要性・内容、相場費用、配管修繕方法、配管修繕の流れ、配管修繕をする際のポイントなどについて解説します。

大規模修繕工事で「配管修繕」を検討するべき理由とは?

給水管の劣化が原因でトラブル発生!

普段まったく目にすることのない配管なので、修繕と言われてもピンとこないケースも多いかもしれません。
でも、配管のメンテナンスを怠ると、建物の劣化では済まされないようなさまざまなリスクが生じてきます。

例えば、水道管が劣化すると、水漏れのリスクが発生します。
ガス管の劣化はもっと深刻で、ガス漏れによってガス爆発を引き起こす可能性すらあります。

配管の劣化が進行すれば、マンション自体の寿命が縮むのはもちろんのこと、安全性までもが失われてしまうのです。
そういう意味で配管は、どこの箇所にも増してメンテナンスが重要な場所と言っていいでしょう。

配管修繕をするべきタイミングは?

配管修繕工事を行うベストのタイミングは、大規模修繕工事の2回目(24年)以降です。
築10年ぐらいまでは、特に劣化は見られないので、1回目の大規模修繕ではやらなくても問題ありません。

しかし築20年ぐらいになってくると、配管に「油類」「汚れ」が付着するようになり、築25年を超えると台所配管の「漏水」「つまり」が起こり始めます。

そのため、深刻なトラブルに発展する前に、2回目の大規模修繕工事とセットで配管工事を行うマンションが多いのです。

修繕の対象となる配管は?

給水(給湯)管

給水(給湯)管は、キッチンやバスルーム、洗面所、トイレなど、マンションのさまざまな箇所に通じている配管です。

ひと昔前の「炭素鋼」でできた鉄管を使っているマンションは、15年ほどで点検を行う必要があります。

現在は「ポリエチレン管」「塩化ビニール管」が使われるようになり、水垢や錆びなどの心配も少なくなりましたが、それでも30年ほどが点検・修繕のタイミングと考えた方がいいでしょう。

排水管

排水管はキッチンやバスルーム、洗面所、トイレなどで使った水を、下水道まで運ぶ配管です。
排水なので生ごみなどを含んだ汚水が流れるため、給水管よりも劣化が早く、詰まりやすいという特徴があります。

そのため、材質は給水管と同じで、工事も給水管と同時に行うことが多いですが、劣化が早く進む可能性があることは認識しておいた方がいいでしょう。

排水管が頻繁に詰まるようになると、流した水が逆流して漏水することもあるので、排水管のメンテナンスは欠かせません。

ガス管

ガス管はキッチンやバスルームなどにガスを運ぶための配管で、調理をするときやお湯を沸かすときなどに、ガス管を通って送られてきたガスを使います。

「ガスは液体ではないから劣化しづらい」と思う人もいますが、けっしてそんなことはありません。
特に昭和50年代以前に建てられたマンションは、「白ガス管」と呼ばれる亜鉛メッキの鋼管を使っている可能性があります。

その場合は、土の中の水分で管が腐食しやすいため、10~15年を目安に交換する必要があります。
現在白ガス管を使っているマンションは、早めの点検・交換を検討しましょう。

近年は耐腐食性のある「ポリエチレン管」「ポリエチレン被覆鋼管」などを使うようになりましたが、それでも耐用年数は30年ほどなので、2回目の大規模修繕でのメンテナンスが必要です。

マンションの給水方式とその仕組み

マンションの給水方式は2種類ある

マンションの給水方式には、「貯水槽方式」と「水道直結方式」の2種類があります。
今まで多くのマンションが「貯水槽(受水槽)方式」で給水をしていましたが、最近は東京都・横浜市・さいたま市をはじめとした多くの自治体が、貯水槽を介さずに給水する「水道直結方式」を推奨しています。

貯水槽方式

「貯水槽方式」とは、マンションの中または外に貯水槽を設置して、そこに蓄えた水を各家庭に運ぶ給水方式です。

屋上に設置した貯水槽から重力を利用して各家庭に水を送る「高置水槽方式」と、貯水槽から加圧給水ポンプを使って水を送る「圧力ポンプ方式」があり、日本は高置水槽方式が主流です。

水道直結方式

「水道直結方式」は、貯水槽ではなく外部の水道本管と直結して、そこから各家庭に水が供給される方式です。

水道本管から増圧ポンプの圧力で水を送る「増圧直結方式」と、水道本管から直接水を送る「直圧直結方式」があります。

給排水管修繕工事の2つの修繕方法

給排水管修繕工事(配管修繕)には、更生工事と更新工事という2種類があります。

更生工事(ライニング工事)

既存配管の内側をコーティングすることで、既存配管の内側の錆の発生や腐食を防ぐ工事が更生工事(ライニング工事)です。

工事方法は既存配管の内側に樹脂を吹き付けてコーティングする塗布ライニングが主流です。ただ現在では反転工法や形成工法、さや管工法、製管工法など、塗布ライニングより優れた工法で行われることもあります。

更生工事をした後の耐久年数は工法によって変わってきます。短いものは10年程度ですが、長いものになると40年程度も耐久年数があります。

更新工事(取り換え工事)

管を新しく取り替える古くなった管を切断して取り外して新しい管に取り替える工事工法が更新工事(取り換え工事)です。近年では技術の進歩によって既にコーティングされた管があり、管を更新する際にはこのコーティング管を使用することで錆の発生や腐食がしにくくなります。

更新工事後の耐久年数は40年~50年程度と長くなります。

配管修繕の費用相場

配管修繕の費用は、更生工事(ライニング工事)なのか、更新工事(取り換え工事)なのかによって異なってきます。更生工事は1戸あたり10万円~が相場となり、作業も1日で完了します。

また、更新工事自体は1戸あたり30万円~が相場ですが、管を交換する際に壁や床をはがしてから、工事終了後に再度補修しなければなりませんので、合計で1戸当たり50万円~の費用が必要になってきます。工事の作業期間も再度補修する工程が増えるために1戸あたり3~5日程度の日数が必要になります。

配管修繕の流れ

配管修繕は以下のような流れで行います。

【STEP1】修繕委員会の設立

ある程度以上の規模を持つマンションであれば、配管修繕工事に向けた修繕委員会を立ち上げるようにしましょう。配管修繕工事は、大規模修繕工事と同等か、あるいはそれ以上に長期間の検討期間が必要となるからです。
修繕委員会の活動状況は、広報や議事録などで居住者に適宜周知することにより工事への理解を得られるようにします。

【STEP2】業者の選定

修繕委員会で複数の施工業者から提案・見積りを受けた後、その中から最適な1社を決めていきます。

なお、業者を選ぶポイントは、①施工業者の事例・実績、②アフターサポート、③費用です。業者を選定するこの3つのポイントについては、以下の記事で詳しく説明していますので、ご参照ください。

大規模修繕で施工業者を選定する3つのポイント

【STEP3】配管の事前診断(劣化状況の確認)

給排水管の現時点での劣化状況を把握するため、内視鏡調査やサンプリング調査など、劣化診断を行います。居住者に対して給排水管についてのアンケートを取ることも大事です。
これらの調査結果をもとにして、修繕委員会で具体的な施工方法を検討していきます。この段階で、配管の延命を図っていく更生工事にするか、新しい配管と交換する更新工事にするかを決定します。

【STEP4】総会における承認と工事説明会の開催

配管修繕の「施工会社」「発注金額」などのほか、管理規約の変更案などの議案の承認を総会で得ていきます
また、施工の実施前には施工会社がマンションの居住者に向け、工事日程や工事期間中の「住戸内での制限事項」などを確認してもらいます。

【STEP5】配管修繕の実施

STEP1~4まで問題なく進めることができれば、後は配管修繕工事を実施するだけになります。配管修繕工事は1~2ヶ月程度はかかりますので、その旨をマンション居住者に周知します。

配管修繕をする際に押さえておきたいポイント4選

配管修繕をする際に押さえておきたい4つのポイントである①大規模修繕工事との違いを適切に理解する、②専有部分(横引管)の工事への配慮、③復旧すべき内装仕上げなどの基準の確認、④入室拒否や不在(空家)物件が生じた場合の対処について解説していきます。

大規模修繕工事との違いを適切に理解する

大規模修繕工事 配管修繕工事
大規模な足場 必要 不要
工事対象の共用部分 専有部分との区別がされている 専有部分と一体となっている
工程管理 天候により左右されるが、再調整可能 天候等に左右されないが、1日単位の細かな管理が必須
専有部分への立入り 不要 必要
室内工事 なし 住戸内装の解体及び復旧工事を伴う可能性が大きい

大規模修繕工事は原則として、建物の外部を中心とした工事になります。それに対し、給排水管更新などの配管修繕工事は建物の内部を中心とした工事です。そのため、居住者の部屋内に入っての工事となるほか、部屋内の壁や床(天井)といった内装を壊して復旧するという作業も発生します。

マンションの修繕委員会としては、居住者に対するきめ細かな配慮を行いながら1日刻みの工程を正確に遂行していくことが大事です。

専有部分(横引管)の工事への配慮

配管修繕工事を行う際には、床下などの横方向に設置されている横引管の工事も併せて行うことも多くあります。この横引管は専有部分あるため、管理組合では工事することができず、居住者の判断と費用負担により実施するしかありません。

そのことを居住者に説明したうえで、給排水管を更新する場合には竪管(共用部分)と横引管(専有部分)を同時に更新工事することが望ましいといわれています。横引管だけ更新工事を行わないと、そこから漏水事故が発生する可能性が残ります。

そこで、できうる限り、横引管は専有部分であっても管理組合の責任と負担で竪管の工事を実施する際、同時に行うべきでしょう。

復旧すべき内装仕上げなどの基準の確認

配管修繕工事で更新工事を選択した場合、室内の壁や床などを壊して工事が完了したら復旧工事が必要になります。マンションの築年数が24年以上ともなると、多くの住宅でリフォームが実施されていて、内装も竣工当初とは異なっていることが多くあります。

その際、内装の解体復旧について、基本的には管理組合が費用負担をしますが、各戸それぞれの内装仕上げを管理組合ですべて費用負担するのは公平性の面から問題があります。

そこで配管修繕工事前に管理組合としての対応基準を作成しておき、居住者に対して何度もアナウンスしておくことが大事です。

入室拒否や不在(空家)物件が生じた場合の対処

配管修繕工事期間中は原則として居住者に在室してもらう必要があります。

しかし、それぞれの居住者の事情により、在室できない居住者がいた場合には、工事業者に鍵を預けてもらうしかありません。その際、後々のトラブル防止のために、業者からは「工事目的以外に鍵を使用しない旨の誓約書」、居住者からは「工事以外の室内のトラブルについては自己責任とする承諾書」を提出してもらい工事を進めていきます。

また、どうしても室内に入らせてくれない居住者がいた場合には、配管修繕工事の重要性を根気よく説明していきます。このような方々を説得して協力をお願いすることは容易ではありませんが、「どんな困難を乗り越えてでも、この工事を完成させないといけない」という強い覚悟を持って説得していきます。

まとめ

マンションの管理組合や修繕委員会の方々の中には、2回目の大規模修繕工事で配管修繕を考えておられる方々も、多いことでしょう。
給排水管やガス管は、一歩間違うと大きなトラブルを招く重要な箇所なので、どのような修繕を行うかを真剣に考えることが大切です。

「RYU-SHIN」には大規模修繕工事の経験豊かなスタッフが揃っており、配管修繕を含めた工事全般を、責任をもって担当させていただきます。
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